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北陸新幹線敦賀延伸開業1年の効果と課題について

▼北陸新幹線が敦賀まで延伸開業して3月16日でまる1年が経ちました。

北陸新幹線@敦賀駅

▼2025年3月17日付けのJR西日本のプレスリリースによりますと、2024年3月14日から2025年3月13日までの上越妙高・糸魚川間の利用者数は990.1万人、前年比で24%増となっています。

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/250317_00_press_hokurikushinkansen_goriyoujyoukyou.pdf

▼また、2024年3月16日から2025年3月15日までの金沢・福井間の利用者数は816.1万人、前年比で25%増となっています。

▼開業した新幹線の各駅の乗車人数は、2024年3月16日から2025年3月15日までで、1日あたり小松駅900人、加賀温泉駅600人、芦原温泉500人、福井3,600人、越前たけふ500人、敦賀7,700人となっています。

▼新幹線の延伸開業により、確実に利用者数が増加していることはわかります。

▼この増加数は、関東圏からの利用者が増えたことによると思われますが、一方、関西や中京圏からの集客には懸念の声が広がっています。

▼関東圏からは、北陸方面には延伸前には金沢で在来線に乗り換える必要がありましたが、延伸でその必要はなくなり、利便性が向上しました。

▼しかし、関西や中京圏から北陸方面へは、これまでは特急一本で行くことができましたが延伸後は敦賀で在来線から新幹線への乗り換えが必要となり、利便性が損なわれました。

特急「サンダーバード」@敦賀駅

▼中京圏からは、在来線で敦賀へ行き新幹線への乗り換え、新幹線では米原で在来線に乗り換えさらに敦賀で新幹線へ乗り換えが必要になりました。

▼その結果、中京圏からは鉄道の利用が減少して、高速バスのニーズが増えているとも言われています。

▼和倉温泉などの観光地では、これまでは関西圏からは一本で和倉温泉まで行くことができましたが、延伸で敦賀、金沢での乗り換えが必要になって、利便性が損なわれています。また、在来線と新幹線の乗りつぎで運賃なども割増しとなっています。

▼2025年3月17日配信の時事通信の記事によると、能登半島地震で被災した和倉温泉関係者は、乗り換えや料金の割増しで、関西からの客に「不便になった」「乗り換えを経験したら、また来たいと思わないのではないか」と懸念しているとのこと。

▼また、同配信記事によると、加賀温泉も同じ悩みを抱え、加賀市によると、2024年の宿泊・日帰り客数が延伸前の2023年と比べ、関東からは7.5%増加したが、中京圏からは4.2%減、関西圏からは13.0%減となったということです。

▼将来的には、北陸新幹線は大阪まで延伸される予定ではありますが、そのルートの決定については、まだまだ予断を許さない状況で、着工はいつになるか分かりません。

▼こうした中で、2月26日のNHK WEBによりますと、同日七尾市は石川県に対して、和倉温泉の復興につなげようと、在来線の特急サンダーバードの運行再開に向けた要望を行ったと報じています。

▼和倉温泉は能登半島地震の被災により、宿泊施設がすべて休業を余儀なくされ、昨年ようやく4施設が再開、今年になってさらに4施設が再開する予定で、要望書では、県に対して、JR西日本に対し大阪と和倉温泉間のサンダーバードの臨時便を実証運行し、将来的に定期運行を働きかけるように求めています。

特急「しらさぎ」@金沢駅

▼新幹線の延伸により、地域によって光と陰が生じるようになりました。大阪までの延伸がまだまだ先になることから、これからこうした陰の部分について、どのように課題対応が行われるのか。今後の行く末を注視していきたいと思います。(2025.3.25)

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嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車が新しくなります。

▼保津川に沿った山陰本線の旧線を利用した観光路線のトロッコ列車が登場したのは1991年4月でした。

▼運営する嵯峨野観光鉄道は、3月21日に新たなトロッコ列車を導入すると発表しました。

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/250321_00_press_NewTorokko2027debut.pdf

▼山陰本線は1989年3月に電化・複線化して新線に切り替えられ、嵯峨駅と馬堀駅の間の旧線は観光路線としてトロッコ列車を走らせることとなり、すでに30年以上たちました。

▼現在、トロッコ嵯峨駅とトロッコ亀岡駅の間7.3キロで営業しており、駅数は4駅となっています。

▼トロッコ列車はトロッコ嵯峨駅を出発してしばらくは山陰本線を走行して、小倉山トンネル手前で新線と別れて旧線へ入ります。

▼トロッコ列車をけん引するのはディーゼル機関車DE10形1104号で、無蓋貨車トキ25000形を改造したSK100形客車5両を付随車及び制御車として使用しています。

DE10形機関車(出典:WIKIPEDIA)

▼トロッコ嵯峨駅方に機関車が連結し先頭車として運転され、トロッコ亀岡駅から戻ってくるときは機関車が後ろに連結されたままで制御車に運転士が乗ります。

▼新たに導入されるのは、機関車及び客車の両方で、衝突時の安全対策を図り、異常検知や故障時のモニター設置するほか、乗り心地向上、座席ピッチや通路幅の拡大、天井・側面を開放感のあるガラス張りにするなど快適性を図ります。

▼インバウンド対策として、日本語、英語、中国語(簡体・繁体)、ハングルの4か国語対応の車内表示器を設置するほか、グループ利用が可能な特別室を導入します。

▼営業開始は2027年春を予定しており、現在運行している車両は2026年で引退します。

▼デザインなど詳細はまた別途発表があるそうです。

▼トロッコ列車の運転開始から30年以上が経ち、車両の老朽化も進んできており、コロナ禍以降、インバウンドも増加しており、新たな投資を図ることとなったようです。(2025.3.21)

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網干総合車両所所属の221系がすべて姿を消しました。最後の編成が奈良へ転属

▼網干総合車両所本所に所属していた221系(B15編成)が3月11日に吹田総合車両所奈良支所に回送されたそうです。

▼これに先立つ3月4日には、B14編成が吹田総合車両所奈良支所に回送され、これで、網干総合車両所所属の221系はすべて転属されました。

▼221系はJR西日本が1989年に初めて設計・製造を行った車両で、他のJR各社が特急型車両を新造するなかで、JR西日本だけが一般型車両を新造させるということで、その意気込みが伺えました。

221系(JR神戸線)@大阪駅

▼この221系は、東海道・山陽本線の新快速、快速用車両として開発された直流近郊型電車で、設計を担当した近畿車輛が、近鉄の5200系で採用した3ドア、転換クロスシート、ドア間の連窓構造などのデザインを盛り込んだ設計コンセプトを提案し採用されたものです。

▼1990年に第30回ローレル賞を受賞し、リニューアル時に2014年度グッドデザイン賞を受賞しています。

▼先頭車両の前頭部の形状は大型局面ガラスを使用し、後退角がついた流線形でユニークなデザインとなっています。

▼側面窓は天地方向に大幅に拡大され、高さは1メートルあります。各座席で景色が見ることができるよう座席1つに1枚の幅の狭い窓が連続で配置されました。

▼制御方式は界磁添加励磁制御で、回生ブレーキを常用する設計となっています。

▼1989年2月から3月にかけて、当時の網干電車区(現在の網干総合車両所本所)に1次車として54両、同年7月に2次車として46両、合計100両が配置されました。

▼1989年2月から7月にかけて1・2次車として、当時の奈良電車区(現在の吹田総合車両所奈良支所)に72両が配置されました。

221系8大和路線)@王寺駅

▼1990年度に網干電車区に3次車として98両、4次車として96両が配置され、計194両が配置されました。

▼また、奈良電車区には、6両編成化用としてモハ・サハユニットの6両が配置されました。

▼1991年には網干電車区に5次車が66両、1992年に6次車36両が配置され、この時点で396両が配置、大所帯となりました。

▼2010年代に入ると製造から四半世紀近くが経ち、老朽化が進んだため、順次体質改善が実施され、2012年度から2019年度までで完了しました。

▼この体質改善に対して、冒頭でも述べたように、2014年度にグッドデザイン賞を受賞し、一部の車両に記念プレートが掲示されています。

▼1989年からJR神戸線・京都線系統の新快速・快速列車として運用され、1991年に新快速の最高速度が120km/Hに引き上げられました。

221系(JR京都線)@島本駅

▼1995年から最高速度が130km/Hに対応する223系1000番台が導入され、1999年からは223系2000番台が増備されていきました。

▼2000年3月のダイヤ改正で、新快速の全列車が223系に統一され、余った221系は福知山線、阪和線に転用されました。

▼225系の導入により、網干総合車両所本所の221系は吹田総合車両所奈良支所に順次転属されていき、残った221系は細々と東海道本線、山陽本線、赤穂線などで快速(普通)として運用されてきました。

▼転属された網干総合車両所本所の221系は、福知山線、阪和線、紀勢本線のほか、大和路線、奈良線、おおさか東線、播但線、湖西線、草津線、山陰本線(嵯峨野線)で運用されています。

221系(奈良線)@京都駅

▼B14、B15編成は播但線で朝のラッシュ時運用されていた編成で、吹田総合車両所奈良支所への回送で、網干総合車両所本所の221系はすべてなくなりました。

▼網干総合車両所から姿を消したものの、吹田総合車両所奈良支所、同京都支所に所属して、まだまだ、主力車両として活躍をやめることはありません。(2025.3.15)

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