京阪電気鉄道が30年ぶりに運賃値上げに
▼京阪電気鉄道は、12月3日に、京阪線・大津線の旅客運賃の値上げを発表しました。
https://www.keihan.co.jp/corporate/info/release/assets/241203_keihan-railway.pdf
▼今回の運賃値上げは、2025年10月に実施を予定し、国に対して旅客運賃の上限変更認可申請を行ったものです。
▼京阪の運賃値上げは、消費税率変更に伴うものを除き、1995年以来30年ぶりのものとなります。
▼初乗り運賃が京阪線では170円(現行、鉄道駅バリヤフリー料金加算10円含む)から180円に、大津線では180円(現行、料金加算10円含む)から200円になります。
▼鉄道バリヤフリー料金加算後運賃の改定率でみると、普通運賃が11.7%、通勤定期が14.4%、通学定期が8.8%となっています。
▼なお、中之島線・鴨東線加算運賃、ケーブルカー運賃、プレミアムカー・ライナー料金の変更はありません。
▼値上げに至った理由については、沿線の少子高齢による乗客の減少、コロナ禍を経た新たな生活様式の定着による減収、バリヤフリー設備の整備、安全・安定輸送に不可欠な車両・変電所等への更新投資やその他施設・設備の維持修繕の費用の増大などをあげています。
▼また、電気料金、物価の高騰、人材確保と職場環境改善のための人件費・経費の増加も今後増加するとしています。
▼これまで、京阪では立体交差事業を寝屋川市駅・淀駅付近で実施、寝屋川市・枚方市駅間での連続立体交差事業に2022年工事着手しています。
▼また、高架橋、橋梁などの鉄道構造物の耐震補強、製造から30年を超える既存車両の改良や13000系の導入による車両更新、ステーションヒル枚方などの市街地再開発事業への協力、駅のバリヤフリー化の推進なども推進してきたとしています。
▼省力化・コスト削減への取組みとして、2002年に京津線のワンマン運転を実施し、2003年に石山坂本線、2007年に交野線、2013年に宇治線においてもワンマン運転を実施してきていましたが、2025年には京阪本線・中之島線の一部区間でも実施を検討しています。
▼また、87駅中36駅が駅係員の終日無配置による業務の合理化を進め、所要人員の削減や一部業務の外部移管、希望退職などにより1995年と比較して約千人の削減を図り、年間約90億円の削減となっているとしています。
▼少子化などの厳しい経営環境に加え、施設・設備の更新、物価の高騰、人件費・経費の増加などにより、経営の合理化やコスト削減を進めてもなお不足する費用の一部負担を乗客に求めるものとして、今回の運賃値上げ申請となったようです。
▼関西の私鉄では、2023年4月に近畿日本鉄道、2023年10月に南海電気鉄道が値上げを実施しており、なかなか、頭の痛い話ではあります。
青胴車の阪神電鉄5001形が2025年2月に引退
▼阪神電鉄は、11月27日、普通車車両の5001形が2025年2月に運行を終了すると発表しました。
https://www.hanshin.co.jp/press/docs/20241127-tishikotsu-5001intai2gatsu.pdf
▼阪神の5001形は、1977年に普通車用の通勤形車両として導入されました。
▼車両上部がクリーム色、下部がウルトラマリンブルーに塗分けられているので、青胴者と呼ばれています。
▼ジェットカーという愛称で、1977年から1981年まで32両が製造されました。
▼当初は2両編成が基本でしたが、1987年12月に4両編成化され、中間に連結される車両の運転台は撤去されました。
▼阪神電鉄では、駅間の距離が短いので、各駅停車は特急や急行などの優等列車にすぐに追いつかれるので、できるだけ早く加速して追いつかれないようにするため、最高運転速度が106km/h、起動加速度が4.5km/h/sとなっています。加速度がすごいので、ジェットカーといわれる所以です。
▼2021年5月に廃車が開始され、すでに28両が廃車となっており、現在現役なのは、5025・5026・5027・5028の編成のみです。
▼阪神電鉄では2025年2月の引退にあたり、各種イベントを企画しており、その第一弾として、2024年12月21日(土)に「HANSHIN ミステリー・エクスプレス 行先不明列車」を運行します。
▼大阪梅田から尼崎車庫までで、途中のルートなど詳細は説明していません。代金はひとり2万円(税込)となっています。
▼また、2025年1月14日(火)・16日(木)・20日(月)・31日(金)に「5001形貸切列車プラン」で尼崎車庫から石屋川車庫へ向かい、再び尼崎車庫へ向かうルートで運行します。
▼貸切プランでは9時30分から12時10分までの貸切で最大100名まで乗車でき、代金は77万円(税込)となります。
▼代金には、イベント参加費、記念品代、諸費用が含まれます。
▼鋼製の青胴車の引退で、また昭和らしい車両が消えます。
一畑電気鉄道デハニ50形52号
▼出雲大社に出かけたついでに、門前町の神門通りにある一畑電気鉄道の出雲大社前駅に寄りました。
▼そこで、デハニ50形52号が駅前に静態保存されているので、見学してみました。
▼オレンジ色の車体は目立つデハニ50形は、1928年から1929年にかけて4両が製造されました。
▼現在、出雲大社前駅に保存されている52号と、雲州平田駅に留置されている53号が在籍しています。
▼デハニ50形は、1928年に小境灘(現一畑口)・北松江(現松江しんじ湖温泉)間、1930年の大社線開業に併せて新造されたオリジナル車両です。
▼客貨同時輸送を考慮した荷物室付き車両で、客室の手動扉も、現在では見ることはできない貴重な車両だそうです。
▼52号は1994年9月に松江市の定期観光コースに使用するためにお座敷列車「ふるさと号」に改装され1996年9月まで運行されました。
▼交換部品を確保できないことや、ブレーキシステムが単一系統であること、手動扉、ATS未設置、不燃化対策もできていないことなどから、2009年3月29日に行われたさよなら運転をもって営業運転は終了しました。
▼2009年8月には、中井貴一主演の映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」撮影のため、1か月間、営業線上を運転されました。
▼現在保存されている52号は、1994年にお座敷列車に改装されていましたが、現在は、映画撮影のため、オリジナルのロングシートに復刻されています。
▼1995年には、鉄道友の会から「エバーグリーン賞」を受賞しています。貴重な車両に出会えてよかったです。やはり、出雲大社はご縁のある神社です。