投稿者名:kumoha313

近鉄

新型一般車両、観光列車、新ビスタカーの導入。近鉄グループ長期ビジョン2035・中期経営計画2028の策定

▼近鉄グループホールディングスは、「近鉄グループ長期ビジョン2035・中期経営計画2028」を3月25日に発表しました。

https://files.microcms-assets.io/assets/b5bb8ced8fa1487390ad071605410061/50c4c470c329433eb27a4fa0c9f71040/20250325-hd.pdf

▼これは、超長期的に近鉄グループが目指す方向性を明示したうえで、10年後にありたい姿を取りまとめた「長期ビジョン2025」を策定し、将来の目標から逆算して中長期的な目標・施策を設定した「中期経営計画2028」を定めたものです。

▼その中で、鉄道事業に関して、長期ビジョンでは、「魅力あふれる沿線を創出し、選ばれ親しまれる近鉄~安全・快適なサービスを提供し、輝く地域とともに~」を謳っています。

▼さらに「中期経営計画」の主な中期戦略として、①安全輸送を大前提とした効率的な事業体制の強化、②沿線活性化と需要喚起の取組みによる収入の拡大を図るとしています。

▼具体的に、①安全輸送を大前提とした効率的な事業体制の強化では、大規模災害に対する対策として、高架橋・法面・トンネル等における安全対策の継続実施、各種設備の更新による省力化・省人化の徹底として、2025から2028年度まで60~80億円程度の投資を実施するとしています。

▼DX、ITによる業務効率化として、省力効果のある駅巡回対応や主要路線も含めたワンマン運転化の拡大、保線検査業務システム化等を図るとしています。

▼省エネ効果の高い新型一般車両の導入の拡大として、2025~2028年度に150両程度の導入を予定。使用電力量の45%減、使用総電力量を年間3~4%減を図るとしています。

観光特急「しかまぜ」@賢島

▼更なる収支改善への取組みとして、ダイヤ見直しによる運営コストの削減、支線エリアにおける賑わい創出に向けた地域と連携した施策の推進を図るとしています。

▼②沿線活性化と需要喚起の取組みによる収入の拡大では、名阪特急増発、最終電車の繰り下げなど需要に応じたサービスの強化、大阪・関西万博や伊勢神宮式年遷宮等沿線での大規模イベント等を取り込んだ営業施策の実施、QRデジタルきっぷ、クレカ等タッチ決済サービスなどの拡充を図るとしています。

▼さらに、沿線地域の観光資源等の掘り起こしや魅力発信の強化、沿線活性化に向けたグループ各社・沿線自治体等との連携施策の推進、インバウンドや沿線外からの奈良大和路、伊勢志摩への誘客強化と周遊拡大、夢洲直通列車、新型観光列車、ビスタカー更新等による新たな魅力発信と近鉄ファンの創出を図るとしています。

▼主な取り組みで示されたもののうち、興味深いものの1つは、2025~2028年度に新型一般車両を150両程度導入するとしていることです。

▼2024年度に新型一般車両の8A系が導入されましたが、今後の一般車両が新型に順次置き換わることが示されました。

8A系@高の原駅

▼近鉄の一般車両はシリーズ21が導入されてから約四半世紀も更新がなく、一般車両は1400両余りあると言われ、老朽化が進んで更新が必要な車両が450両以上あると言われています。

▼中期経営計画に載ったことで、更新が今後進んでいくと思われ、新型車両の導入が楽しみになります。

▼もう1つは、夢洲直通列車、新型観光列車、ビスタカー更新が示されたことです。

30000系ビスタカー3世@大阪上本町駅

▼大阪・関西万博の会場にある夢洲へは、近鉄けいはんな線が大阪メトロと相互乗り入れを行っており、万博終了後の跡地での国際観光拠点やIRの開発を見据えて、生駒駅で奈良線からけいはんな線へ直通乗り入れを行う研究が行われており、実現すれば奈良などから特急が運転されるかもしれません。

近鉄7000系@夢洲駅

▼ただ、大阪メトロ、けいはんな線は第三軌条方式なので、奈良線と直通運転をするにはこの集電方式をどのように解決するのかが課題となっています。

▼近鉄では、これまで、観光列車として、「しまかぜ」「青の交響曲」「あをによし」が導入されて、インバウンドや国内の新たなニーズを創出してきましたが、今後も新たな観光列車が導入されるとのこと。これも楽しみです。

青の交響曲@大阪阿部野橋駅

▼名阪特急は、「ひのとり」が新造されましたが、汎用型の特急車両の新造は2009年の22600系Aceの導入以来ありません。ビスタカーは1978年にビスタカー3世が導入されて、もう50年近くになります。新ビスタカーの登場は遅いくらいです。これも楽しみです。

▼今回は近鉄グループの長期ビジョン及び中期経営計画において、鉄道事業がどのように示されているかを見てきましたが、新型一般車両、新しい観光列車、新ビスタカーの導入が謳われており、今後の近鉄の動きが楽しみではあります。(2025.3.26)

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JR西日本

北陸新幹線敦賀延伸開業1年の効果と課題について

▼北陸新幹線が敦賀まで延伸開業して3月16日でまる1年が経ちました。

北陸新幹線@敦賀駅

▼2025年3月17日付けのJR西日本のプレスリリースによりますと、2024年3月14日から2025年3月13日までの上越妙高・糸魚川間の利用者数は990.1万人、前年比で24%増となっています。

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/250317_00_press_hokurikushinkansen_goriyoujyoukyou.pdf

▼また、2024年3月16日から2025年3月15日までの金沢・福井間の利用者数は816.1万人、前年比で25%増となっています。

▼開業した新幹線の各駅の乗車人数は、2024年3月16日から2025年3月15日までで、1日あたり小松駅900人、加賀温泉駅600人、芦原温泉500人、福井3,600人、越前たけふ500人、敦賀7,700人となっています。

▼新幹線の延伸開業により、確実に利用者数が増加していることはわかります。

▼この増加数は、関東圏からの利用者が増えたことによると思われますが、一方、関西や中京圏からの集客には懸念の声が広がっています。

▼関東圏からは、北陸方面には延伸前には金沢で在来線に乗り換える必要がありましたが、延伸でその必要はなくなり、利便性が向上しました。

▼しかし、関西や中京圏から北陸方面へは、これまでは特急一本で行くことができましたが延伸後は敦賀で在来線から新幹線への乗り換えが必要となり、利便性が損なわれました。

特急「サンダーバード」@敦賀駅

▼中京圏からは、在来線で敦賀へ行き新幹線への乗り換え、新幹線では米原で在来線に乗り換えさらに敦賀で新幹線へ乗り換えが必要になりました。

▼その結果、中京圏からは鉄道の利用が減少して、高速バスのニーズが増えているとも言われています。

▼和倉温泉などの観光地では、これまでは関西圏からは一本で和倉温泉まで行くことができましたが、延伸で敦賀、金沢での乗り換えが必要になって、利便性が損なわれています。また、在来線と新幹線の乗りつぎで運賃なども割増しとなっています。

▼2025年3月17日配信の時事通信の記事によると、能登半島地震で被災した和倉温泉関係者は、乗り換えや料金の割増しで、関西からの客に「不便になった」「乗り換えを経験したら、また来たいと思わないのではないか」と懸念しているとのこと。

▼また、同配信記事によると、加賀温泉も同じ悩みを抱え、加賀市によると、2024年の宿泊・日帰り客数が延伸前の2023年と比べ、関東からは7.5%増加したが、中京圏からは4.2%減、関西圏からは13.0%減となったということです。

▼将来的には、北陸新幹線は大阪まで延伸される予定ではありますが、そのルートの決定については、まだまだ予断を許さない状況で、着工はいつになるか分かりません。

▼こうした中で、2月26日のNHK WEBによりますと、同日七尾市は石川県に対して、和倉温泉の復興につなげようと、在来線の特急サンダーバードの運行再開に向けた要望を行ったと報じています。

▼和倉温泉は能登半島地震の被災により、宿泊施設がすべて休業を余儀なくされ、昨年ようやく4施設が再開、今年になってさらに4施設が再開する予定で、要望書では、県に対して、JR西日本に対し大阪と和倉温泉間のサンダーバードの臨時便を実証運行し、将来的に定期運行を働きかけるように求めています。

特急「しらさぎ」@金沢駅

▼新幹線の延伸により、地域によって光と陰が生じるようになりました。大阪までの延伸がまだまだ先になることから、これからこうした陰の部分について、どのように課題対応が行われるのか。今後の行く末を注視していきたいと思います。(2025.3.25)

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南海

4月1日に泉北高速鉄道が消滅、南海電気鉄道泉北線に

▼2025年4月1日に泉北高速鉄道は、南海電気鉄道に吸収合併されることになり、南海泉北線となります。

泉北高速3000系改@難波駅

▼2024年9月30日に、南海電気鉄道は、完全子会社である泉北高速鉄道を吸収合併すると発表しました。これにより、泉北高速鉄道がなくなることになりました。

https://www.nankai.co.jp/lib/company/news/pdf/240930_1.pdf

▼泉北高速鉄道は、泉北ニュータウンなどへのアクセス路線として、南海電鉄が直接経営することが検討されていましたが、1970年代当時、南海電鉄は重大な事故を頻発させて、多額の投資を必要とする新線建設は難しかったのです。

▼そこで、大阪府が物流拠点の運営のために設立した第三セクターである大阪府都市開発が経営することとなりました。

▼1971年の開業時は全業務を南海電鉄に委託していましたが、段階的に直営化を進め、1993年4月に全業務を直営化しました。

▼2008年から大阪府都市開発の株式を売却する動きが出てきました。2010年9月大阪府は大阪府都市開発の民営化を決定しました。

▼2013年6月、大阪府が保有する株式一括売却の公募を発表。

▼2013年11月、アメリカの投資ファンドが優先権を獲得し、売却されることとなりました。

▼しかし、売却先が外資系企業であること、沿線住民や沿線自治体の議会から異論が出たこと、沿線の三大学が運賃や通学定期券の割高感に不満をもって値下げを求める要望書を大阪府知事あてに提出したことにより、2013年12月の大阪府議会では株式売却議案が否決されました。

▼2014年2月の府議会で、株式の売却を随意契約で南海電鉄等に売却する方針を表明し、2014年6月売払いに関する議案が可決され、同年7月に全株式が譲渡され、泉北高速鉄道株式会社と社名を変更するとともに、南海グループの一員となりました。

▼その後、南海電鉄は2022年4月に泉北高速鉄道の株式をすべて取得し、完全子会社化を図りました。

▼さらに、南海電鉄では、人口減少やコロナ禍以降の生活様式の変化、人材確保が困難になる中で、泉北高速鉄道との経営統合により、グループ経営の効率化を通じて、サステナブルな公共交通の経営の実現、競争力のある流通センターの確立に向けて経営資源を投入していく事業体制が最善だと判断して、今回の吸収合併となりました。

泉北高速7000系@難波駅

▼非常に複雑な経緯を経て泉北高速鉄道は、今回南海電鉄に吸収合併されますが、利用者としては、メリットもあります。

▼別会社であったときには、南海高野線と泉北高速線の両線にまたがると運賃がそれぞれ加算され割高感がありましたが、今後は南海電鉄の運賃表を適用することになり、運賃の値下げとなります。

▼経営統合により、4月1日には運賃値下げや通勤・通学定期の値下げが実施されることとなりました。

▼そもそも、泉北高速線が発足する際に南海電鉄が手掛けることになっていましたが、様々な要因で別会社が役割を担い、ようやく元の鞘に収まったということでしょうか。(2025.3.24)

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