▼阪神の赤胴車は特急や急行などの優等列車用の車両のカラーリングです。1958年の3301形・3501形で初めてクリーム色とバーミリオンのツートンカラーが採用されました。
▼当時のテレビドラマの赤胴鈴之助にちなんで「赤胴車」と呼ばれるようになりました。以来1995年に製造された8000系まで採用されてきました。

▼ところが1995年1月に発災した阪神・淡路大震災で阪神の車両は多くが被災し、1996年に新たに製造された9000系はステンレス車体を採用し、赤帯を採用して、赤胴車の伝統は途絶えました。
▼その後、9000系は2009年の近鉄奈良線との直通乗り入れで、カラーリングを1000系と同様にオレンジの帯に変えられました。

▼2001年に導入された9300系は8000系と同様のツートンになりましたが、カラーリングは上下が逆となり、下部がシルキーベージュ、上部がプレストオレンジに変更されました。

▼このカラーリングについて、2017年の阪急阪神ホールディングスの株主総会で、株主から車体のオレンジが阪神タイガースのライバル読売ジャイアンツのカラーを連想されると指摘され、変更するように要望が出ました。
▼さすが、虎キチが多い地元だけあって、株主総会で車両のカラーリングについて、ライバル球団のカラーを連想させるとの指摘が出るところはすごいです。
▼しかし、その時には会社側はカラーリングについての意見はこれまでもあったが変更はしないと回答していました。
▼8000系のリニューアルなどにより2015年5月までに赤胴車はなくなり、唯一武庫川線で4編成が残っていましたが、老朽化やバリアフリー化のために、2020年に5500系に置き換えられました。

▼ところが、創業120周年記念施策の一環として、2025年5月から8215編成を皮切りに8000系全編成(19編成)を3、4年かけて赤胴車に戻すと発表が行われました。
https://www.hanshin.co.jp/press/docs/20250310-toshikotsu-singatasyaryo2.pdf
▼また、2027年春に座席指定サービスにも対応した新型急行車両3000系を導入することを合わせて発表し、車体のカラーリングも赤胴車を引き継ぐ「リ・バーミリオン」とすることとなりました。
▼紆余曲折はありましたが、やはり阪神の優等列車のカラーリングは赤胴車が似合うということで、元の鞘に戻りました。(2025.6.17)